文字の羅列だけでは伝わらないので、束見本の作り方を簡単にまとめてみた。
作り方は自由なので、必ずこういう作り方でないと......ってことではない。仕上がりがわかればいい。
準備する
まずは準備するもの一覧。
- 見本にする用紙(今回はマットコート135kg)
- 定規(カット用に保護板がついているもの)
- 鉛筆またはシャープペンシル(硬度の高いもの。写真は3H)
- 鉄筆(てっぴつ)
- カッターナイフ
- ダブルクリップ 3コくらい
- ステープラー(中綴じ用)
- 文鎮
- カッティングマット
次に手順。
- 用紙にトンボをプリントアウト。
- 天地のセンタートンボを結ぶ線に折り目をつける。(背を作る)
- 二つに折って型をつけ、紙をすべて重ねる。
- 一旦広げて、背を中心に揃える。
- ダブルクリップで端を留める。
- ステープラーで背を綴じる。
- コーナートンボを結び、天と地の裁ち落とす位置に目印を入れる。
- 二つに折って、裁ち落とす。
出力する
今回はA5サイズ中綴じの冊子見本をつくる。
まずは用紙に実寸の「見開きサイズ」のトンボをプリントアウトする。
冊子のサイズがA5なら1ページはw148×h210(mm)だが、中綴じ製本は見開きの紙を二つ折りにして、その背をステープラーで綴じるので、見開きサイズでなければ製本できない。今回の場合はw296×h210(mm)を基準枠としたトンボを出力する。(※1)
トンボを使わずに作ることもできるが、いちいち紙のサイズを計って作業すると無駄に時間を使ってしまう。また、規格サイズ(A5冊子をA4用紙で作るとか)ならトンボを使わず二つ折りなどして加工すれば早いが、厚い紙は美しく折ることができない。
やはりトンボは使った方が良い。
トンボを出力したマットコート A3 135kg。
今回は12ページなので見開き×3。
A5冊子ならA4+トンボで、B4サイズの紙があればいいが、
手元にあるのはA3なのでそれを使った。
綴じる
トンボを出力した用紙に折り目をつける。天側と地側にある十字形のセンタートンボを結ぶ線が折り目になる。
折り目加工には鉄筆を使う。先が尖りすぎているものを使うと紙が剥けてしまうので、球になっているのがオススメ。
鉄筆は画材屋さんに行けば売られているが、
あまり好みの形ではなかったのでABCクラフトさんで買い換えた。
革細工用の道具売り場とか、粘土細工の道具売り場などに置かれている。
しかし写真にしてみたらエラく手袋が汚いな。
捨て捨て。
3枚ともに折り目をつけたら二つ折りにして重ね、天地も揃えて整える。
山折りにした部分が背になる。
135kgが6枚も重なると、かなり分厚い冊子になる。
一般的にはあんまりやらないんじゃないかなぁ。
用紙を揃えたら一旦広げる。山折り部分を軸にして重ね、すべての紙が揃ったところで横の端をクリップで仮止めする。背の部分を基準に横方向のたるみを逃がして固定するのが狙いだ。背の部分が揃っていればいいので、クリップは片側だけでもかまわない。
軽く山折り状態が残っていた方が位置決めや加工がしやすい。
紙を広げた時に100%平滑である必要もない。
とにかく背が揃えばいい、くらいの気持ちで。
中綴じ用のステープラーで背の部分を綴じる。
写真で使用しているものはマックス株式会社のHD-3LDIII。2019年3月現在、税別7,000円ということで、サンプル作成のために買うのはちょっとためらう価格だ。サイズも結構デカい。すごく使いまくるわけでもない場合はホッチくる HD-10Vという10号タイプのものがある。薄手の紙で加工するなら、それを使ってみるのもアリだと思う。
小さいのはこんなの。
ステープラーの部分が90°回転する。
針がセンターからズレるので
白い部分にガイド線を引くといいかも。
購入当時、ホッチくるっていう名前だったかどうかは
もう忘れてしまった。
慣れるまで位置決めに失敗する。
練習は必要。
断裁する
ステープラーで留めたらダブルクリップを外し、冊子を広げて断裁の準備をする。
四隅にあるコーナートンボの「断裁するほうの線」を定規で結び、鉛筆で背の部分に目印を入れる。3Hなどの鉛筆を使って、目に見えるかどうかくらいの線を入れるのがポイント。
目印を入れるのは、天側と地側の2箇所。
左右には入れない。
目印を入れたら冊子を二つに折ってから断裁する。
その理由は二つ。
一つは実際の断裁工程と同じだから。バラバラの紙をセンターで綴じたら本の形に折り曲げて、断裁して整える。雑誌などを見れば、中綴じのものは折られた状態で小口が揃っている。広げると一番内側のページは横幅が短い。サンドウィッチの耳を切るように形を整える、というばわかりやすいだろうか。
もう一つはカッターナイフを動かす距離をできる限り短くするため。切る距離が長ければ長いほど「失敗する率が上がる」ので、リスクを減らすのだ。
文鎮などを使って膨らみを押さえ、できる限り平滑にする。
次に、冊子の横側にカッターナイフの刃を入れる。切るのは「トンボからトンボの間」で、切り落としてはいけない。
紙が厚くて切れないときは、何度か刃を滑らせる。
力まかせに切ると失敗するので注意。
こんなふうに天と地を残して切る。切り落とすと大失敗なので注意。(大切なことなので2度言う)
これで冊子の「指でめくる側」ができる。
小口(こぐち)と呼ばれる。
次に天と地を切る。背からトンボに向けて刃を入れる。まずは天から切るが、刃はトンボで止める。
冊子が膨らまないように、適宜ウェイトを使う。
ぼくは文鎮を多用するが、別になんでも構わない。
レイアウト定規と呼ばれる幅広の定規は
抑える範囲が広いので結構役に立つ。
こんなふうに、トンボで刃を止める。何度も書いているけれど、切り落としてしまうとリカバリーが面倒になる率はグングン上がる。「切り落とさない」はクセとして身につけておくと本当に役に立つ。
これで束見本の完成。慣れれば手早く作れるハズ。
よく見たら気づかれるのだれど、
ステープラーの位置、
天と地で間違えました。てへ。
繰り返しになるけれど、これが正しい作り方ってことではない。もっといい作り方をしている人はたくさんおられるハズなので、調べてみていただければ、と思う。
束見本って何? という方にとって少しでも参考になれば幸い。
- ぶっちゃけ、A5冊子ならA4の見開きで原稿を作っても怒られないと思っていたりする。見開きで297mmのものが半分になったら148.5mm。A5は148mm。膨らみの生まれる冊子で0.5mmなんて誤差範疇じゃないかなぁ。[戻る]