古い写真(具体的には2003年のもの)をスキャンして、コピー(文字)を入れて、それをさらにプリントして、額装してプレゼントするという依頼を受けた。
大きくなくていいということだったので、サイズは2L判を選択。
作業はすぐに終わったが、問題はプリント。
いつもなら、こういった件はフジフイルムの銀塩プリントサービスを利用する。
https://pg-ja.fujifilm.com/home
しかし今回は納期が短い。
フジフイルムのプリントサービスは、宅配の場合2営業日後に発送される。
「営業日」の定義が不明なのだが、普通に考えると「日曜日」は休業日になるのではないだろうか。というか「土曜日」も怪しい。発注タイミングが土曜日だったため、発送は水曜日と想定される。その後、宅配便なら1〜2日、メール便なら2〜5日を要して配送されるのだが…。
写真が必要になるのが水曜日。想定された発送日。
アカン。
コンビニプリントは選ばない
「じゃあコンビニプリントがあるじゃん」というご意見があるかもしれない。それなら社内のカラーレーザープリンタを使うことになる。コンビニプリンタの精度がわからないし、メンテナンス度合いも(プリントしてみないと)わからない。置かれている紙はコピー用紙だから、質感がとてもチープになってしまう。
セブンイレブンに置かれているフジのプリンタには写真品質用紙が格納されているのだけれども、それだったら同じ品質の紙を買って、やっぱり社内でプリントすると思う。
社内なら紙は選び放題なので、写真用紙に限らずとも、コットンペーパーとか、アラベールとか、質感の強い紙を買ってきて手差しでプリントする。
とはいうものの、社内プリンタではベタ面にムラができたりするケースもあるので、納品の品質を考えると、ちょっと心もとない。
やはりここはトナーではなく、耐水性・耐光性が強い銀塩プリントを探したい。
欲しいのは「昔ながらの銀塩プリントに匹敵する仕上がり」なのだ。
店頭でのプリントを検討する
というわけで次の選択肢である、写真店での店頭プリントを検討してみた。
ヨドバシやカメラのキタムラ、カメラのナニワ、ビックカメラなどのような店舗には昇華型プリンタが設置されていて、銀塩写真ぽい仕上がりのプリントを可能にしている。
個人的な感想でしかないのだが、銀塩以外のプリントはイマイチ信用していない。耐光性・退色・発色の問題が残ってるんじゃないのかな、と思っているのだけれど、今回は時間が最優先。
個人的な事情で一番使い勝手がいいのはヨドバシカメラ。なのでまずは仕様を確認してみようと思い、電話した。
売り場に繋いでもらったら、なんだか少々日本語が怪しいスタッフさん登場。
ちょっとイヤな予感がするが、一応訊いてみる。
どんな機種がありますか?
「赤いのと緑があります」
そのメーカーはわかります?
「緑はフジ、赤はプリントラッシュです」
(フジはわかるけれど、プリントラッシュは絶対メーカーじゃねえな(後に検索でDNPと判明))
データの持ち込みは何で行いますか?
「SDカードやUSBメモリです」
サイズはどこまで対応していますか?
「どんな写真も対応しています」
大きなものもすぐ出るんですか?
「それはお日にちかかります」
(えらくふんわりしている。どのサイズから日数を要するかを尋ねるのは、難易度が高そうだ)
プリント用の必要解像度はありますか?
「ないと思います。だいたいどんな写真でもちゃんと出ます。スマホとかちゃんと出ます」
(これ以上尋ねても出てこないやつだ)
とりあえずお礼を言って電話を切った。
うむ、これは再び軽く暗礁に乗り上げた感があるぞ。
デザイナーは出稿前に必ず仕様確認をする。プリンタには必ず「必要解像度」というものがあって、データ量が重要になる。だから「ないと思います」というのは間違い。
けれど「わりとどんなデータでも出なくはない」というケースはあるのだ。だから「ちゃんと出ます」というのは間違ってるわけでもない。
たとえばカラーレーザープリンタの解像度は400dpiとか600dpiなのだれど、ぶっちゃけ150dpiもあれば問題なくて。デザイン作業ではそんなサイズの画像を使う場合もある。いわゆる「アタリ画像」だ。印刷出稿時に350dpiの画像データと差し替える。
「解像度不明、たぶんこれくらいだろう」と、ぶっつけ本番でやってみる手はアリだけれど、無駄に時間を失いたくはないので、もう少し仕様を探ってみることにした。
オンライン発注 / 店頭でプリント受け取りを検討する
ヨドバシカメラの電話のように、店頭に行って、やってみたら「後日渡します」とか言われるのは効率が悪い。
仕上がりを確認して、ダメだったら調整して再発注という流れが作れれば美しい。
昇華型プリントの、ある意味「色校正」なのだから。
うまくいけば校了。気に入らなかったら再入稿。
印刷手順と同じだ。
もう少し検索してみたら、ネットで発注して店頭で受け取るサービスがいくつかあるらしい。
フジフイルムにも同様のサービスは存在する。ただ、受け取りに時間がかかりすぎるため、今回の作業では検討していなかった。
検索の結果、情報がわかりやすくて助かったのが、カメラのキタムラだった。
https://www.kitamura-print.com/print/digicameprint/
何が良かったかというと、必要解像度、出力サイズ、出力時間、費用が一発でわかること。
サイズが大きいものについては受付リンクが別になっているので、なるほどそっちは時間がかかりそうだなとすぐに把握できること。出力機材のメーカーがわかることなどだ。
ちなみに2022年9月現在、カメラのキタムラのプリントサービスはフジフイルムの機材が使われている。調べてみたら「デジタルプリント専用機器Frontier」だったらしく、利用したかった銀塩現像タイプ。いわゆる印画紙を使うプリントで、耐光性は一番じゃないかな。
数日経ってから判明したことなので、「結果オーライ的なお仕事」になっちゃった感じがあるのだけれども、想定以上の品質が担保できていたことになる。長期保存の不安が解消されたのはとても喜ばしいことで、願ったり叶ったり。
今回初めて利用するので、最初にちょっと面倒な登録がある。その手間を「やだなあ」と思われる方がいらっしゃるかもしれないのだけれど。10分くらいでプリントできてしまうらしいことを考えると、まるで気にならないくらいの気軽さだと思う。
翌日(別件も絡めて)店頭に赴き、仕上がりを確認してお支払いして完了。
発注時のクレジットカード決済が必須ではない。手数料も発生しない。コレ、使いやすいと感じる人は多いんじゃないかな。
また、店頭のレジは各種電子決済に対応しているので、スマホ1つでOKだったりするのも助かるんじゃないだろうか。
発注したら、メッチャ早かった。
18:57にポチった。(受注メールが届いた)
19:28に完了メールが届いた。
このスピード感はめちゃくちゃイイ。
安心して取りに行けるし、この速度感なら修正にも余裕がある。
そんなわけでカメラのキタムラでネットプリントを発注した話、でした。
時間に余裕がないときは、これ一択かなと思う。
次にいつ発注する機会がくるのかは、わからないのだけれども。
でも、銀塩プリントって、いいよね。
今回使ったのはデジカメプリントだけど、それ以外にフォトブックやカレンダーなどが作れたりする。興味がある方は一度ご覧になってみては。
カメラのキタムラ プリントサービスページへ(※1)→
- 当ページのこのリンクだけはアフィリエイトを含んでいます。アフィうぜえという方は、カメラのキタムラで検索していただければ
キタムラの用紙持ち込みプリントについて
検索されてる方が多いようなので言及すると、2023年1月現在、用紙持ち込みに対応しているのはポストカード印刷だけのようだ。
ただし、用紙にも得手不得手があるので、持ち込んだとしても「コレだめです」と言われる可能性はある。
これはお店のほうの事情もあるので、無理強いはしないであげてほしい。
コンビニプリントもそうなのだけど、インクジェットじゃないプリンタは表面が平滑であることが大切なのだ。
例えばケント紙、上質紙、コットン紙はいけるけど、マーメイドやキャンソン、レザックは苦手かもしれない。マットコートは、どうだろうか? という感じで納得していただけると、いろんな人がハッピーになるんじゃないかな。店頭もしくは電話で確認することをお勧めしたい。
最近は販売会社さんも「レーザープリンタOK」とか「インクジェット専用」なんていう書き方をしたパッケージを売ってたりするのだけれど、プリンタ屋さんがOKと言ってるわけではないので、「なんで紙屋がOKって言ってるのにダメって言うの!?」みたいなキレ方はやめてあげてほしい。
できるかぎりプリンタは長く使いたい。いろんな人がそう思ってる。もしかしたらあなたが持ち込んだ紙は、プリンタが早死にする要因かもしれないのだ。
故障したらメンテナンスするのは当然なのだけれど、そのためにお金がめちゃくちゃかかってくる確率が少しでも存在していると、プリントしてくれる店も「やだなあ」って思うのが一般的なわけで。
なんでダメな紙があるのか?
紙にもいろいろな種類があって。
印刷物をキレイに見せるための工夫が施されているものほど、数が増えると「蓄積する苦手さ」というのがある。
「紙粉がローラーやらなんやらにくっついて滑ってエラーが出る」というものだ。
プリンタトラブルでメンテナンスの人が呼ばれる理由ナンバーワンは、たぶんこれ。
滑るのよ。紙が。紙の粉で。
汗っかきの人が自分の汗で手を滑らせた、みたいなことが起こるのよ、プリンタで。
排出トレイに出るギリギリ手前で滑って、このタイミングで全部出るはずなのになんか残ったみたいだよ、3mmくらいだけど。だから紙詰まりだよね、とか言いやがる。
ふざけんな。(ふざけてない)
排出側のローラーは絶えずくるくる回ってて。でもギリギリ紙の端っこがローラー部分に残ってる、みたいな状態。
センサーが「紙は3mm残ってた」と感じても、それもしかしてプリンタがちょっとだけ待ってたら、もしかしたらちゃんと排出されてたかもだよね? とか思うわけなんだけれど「エラー」っていうんだよあいつら。ひどいよね?(ひどくない。むしろ正しい)
それが起こる要因として、コート紙/マットコート紙の塗工剤とか、表面から剥がれた紙の一部とか、ゴムローラーの劣化とか、いろいろあるのだ。それで紙がすべって、正しく搬送されない。
まあ、コート系の紙を使ってる時点で「それはプリンタ用じゃない」という指摘がありそうだし、甘んじて受けるのだけれども。お仕事としては「コピー用紙ですべてを賄うわけにはいかない」という審美的事情がある。
なのでサービス担当の人からは、事業所でできる簡単メンテナンスを教えられたりします。
無水アルコールで拭け、とかね。
要はメンテナンススタッフを「そんなしょうもないことで呼び出すな」という名の威圧である......は冗談としても。
サービス担当者を呼ばれても出かけてるとか。
サービス対応時間外(深夜とか)にトラブったとか。
そういうときの対処法は多いほうがいいので、できる限り訊いておきたい内容となる。
その次にサービス担当者が言いたい(けど言えない)言葉としては「そんな紙でプリントすんな」があるんじゃないだろうか。
レーザープリンタにも不得手はあるのだ。
うちの仕事場でも「その紙でプリントさせないで。印刷会社に発注して!」というケースは存在する。
だからどうか、ゴネないでほしいと思う。無理なものはあるのだ。それに今はネット印刷が安い。たとえば株式会社グラフィックの「ハイエンドデジタル印刷」は、格安ながら超絶美麗なオンデマンドプリントだ。言い換えるとしたら、高級カラーレーザープリンタ、かな。
オフセットよりも気軽に使える安定した軽印刷だけれども品質はすごくいい。オフセットと言われても気づく人は少ない。一度試してみていただければと思う。