Air Graphics
2018.8.5 | 四方山話

Google mapではわからないこと。現地調査の必要性について。

仕事柄、飲食店のハガキをつくることもある。

ある日の打ち合わせで、ハガキに入っている地図を眺めていたシェフが小さくつぶやいた。

「ここ、もうホテルビスタじゃないんよね」

なんですと!?

しまった。
ここしばらく街をチェックしてなかった。
というか、街に出る時間がとれずこもっていたら、想像以上に新陳代謝が進んでいたらしい。とてもびっくりした。

ちなみにこれがハガキに使用していた地図だ。(当該店舗の情報は外してある)先ほどの「ホテルビスタ」は真ん中の下あたりにある「ホテルビスタグランデ大阪」がそれにあたる。

実のところ、大阪の繁華街には、あんまり代謝がないという印象を持っていた。

テナントは変わってもビルはコロコロ変わらないというか、一度建てたら50年くらいは変わらないだろうってイメージだった。
リーマンショックや東北の震災が及ぼす影響で、経済が動いている印象はあんまりなかった。

でもよく考えてみたら、そごうは大丸になったし、ソニータワーやキリンプラザは違う建物になっていた。つまるところ、自分に関わりがなく、単に見ていなかっただけだった。

爆買いに始まった外国人観光客の増加と呼応して、大阪市内の街は大きく変わっている。

ラグビーのワールドカップ、東京オリンピック、さらに大阪万博誘致まで見込んだ都市開発が進んでいるようだ。
民泊とホテルが増え、既存の建物はオーナーが替わるなどして、繁華街の顔はいつの間にか知らないものになりつつあった。

いやあ、びっくりしたなぁ、大阪......なんて呑気なことは言ってられない。まずはざっと調べてみることにした。

地図を見直す

ところで、デザイナーが地図を作ったり街を調べる時にまず見るのはGoogleではないだろうか。(違うかもしれないけれど、まぁそういうことにしておいてほしい)エリアを検索して、ランドマークをチェックするだろう。

そんなわけでGoogle mapで調べてみた。

  1. ホテルビスタグランデ大阪 → ホリデイ・イン大阪難波
  2. ホテルメトロTHE21 → イビス スタイルズ 大阪
  3. オスカル → オスカル
  4. ドン・キホーテ → ドン・キホーテ
  5. H&M → CROESUS心斎橋(!)
  6. クロスホテル大阪 → クロスホテル大阪
  7. 三津寺 → 三津寺

7件中3件が変わっていた。
1と2はわかるとして、5つめのH&Mが不可解だった。

道路の左側に「H&M 戎橋メンズ店」ができている。対する右側には「CROESUS心斎橋」文字。しかしここはもともと「H&M」だったはず。
一般的にファション関係はレディスフロアの方が圧倒的に広い。海外ブランドであることを鑑みてもレディス対メンズは50:50に近い比率で展開するだろうから、レディスを潰してメンズだけ残すとは考えにくい。
しかもヘンなところにショッピングモールと書いてある。そこは戎橋だ。

Googleだけではなんとも判断できかねる状況。
これはもう確認に出かけないとダメだ。

実際に見てみる

まずはどうなってるかよくわからない「H&M」をチェックした。まずは地図の左側。

「H&M」だった。続いて右側。

こちらにも「H&M」のサインがあった。
「CROESUS心斎橋」っていうのは建物の名前なのかもしれない。
いずれにしても通行人には「H&M」が目に入るだろうから、建物名よりテナント名を記載するのがいいだろう。

さらに、変わったと思われるホテル2軒についても見ておくことにした。

確かに「ホリデイ・イン」だった。

「イビス・スタイルズ」っていうのはこう書くのか。

前述の通り、実はGoogleも万能ではなくて、うっかり鵜呑みにしていると大きな間違いを犯す危険性がある。だから現地に赴いてランドマークを確認する作業が必要だ。

ネットで人気の「ほぼ日手帳」は、鉄道の駅や乗り換えを実際に現地に住んでいる人たちに確認してもらって、それを手帳に反映するのだそうだ。
実によくできたシステムだ。いいなぁ、すごいなぁ、ファン心理をくすぐっているなぁ、なんて感心した記憶がある。

ともかく、つい忘れがちになるけれど、手間を惜しまずにちゃんと確認しようということを再認識したところで、最終的な地図はこんなふうになった。

入れ替わりがなそさうなランドマークを採用するというのも、地図づくりにおいては大切なんだねぇ。

関連するページ