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2016.11.1 | デザイナーとカメラ

今さらと言われそうだがFinePix S3Proというカメラを持ち歩くこと 1

最近、散歩カメラを持ってウォーキングしている。

今の散歩カメラは、自分にとって2台目のデジタル一眼レフ、FujifilmのFinePix S3 Pro。いつ購入したのかを調べてみたら13年前だった。

古い。

フィルムならまだしもデジタルで13年は古い。仕事じゃ使わないし、ヤフオクで売れるかどうかもわからない。

そんな古いカメラを持ち出したのは、久しぶりに使ったら意外に良かったから。長い年月の経過と技術の進歩を理由に、カメラの性能を見誤っていたのではと気づいた。

そのポイントはRAWデータで扱ったこと。最近のPhotoshop CCはCamera RAWが表現の幅を広げてくれる。

例えば初期設定のままで現像したデータはごく普通の見栄えで、目で見た風景よりも暗い。こんなに暗いのに車はライトを点けていないので「おかしいじゃねーか」となるのだけど、一般的なカメラの写り方からすればこんなもんだ。

初期設定。手を加えずに現像。JPEG撮りっぱなしでもこんな絵になる、かな。

見た風景に近い感じに、全体を明るく調整してみるとこんな感じ。今までずっと多用していたトーンカーブ機能を使用。明るくなったけど、こんどはシマリのない印象だね。あんまり好きじゃない絵なので普通は却下。

トーンカーブの中央あたりをつまんで明るくしてみる。こういう見え方が当たり前だと思っていた。ちゃんと絵作りするには、マスクをかけて必要な部分にだけ調整を繰り返す必要があったのよね。

そんなわけで、最近特に気に入っているCamera RAW機能を使う。起動時に表示されるパネルの調整項目で事足りるぐらいに便利。

Camera RAWのパネル。ここを触るだけでほとんど解決するんじゃない? こんなに気軽に調整するのはインチキだーって言いたくなるくらい便利。

シャドウはちょっと明るくして潰れたディテールを明瞭に、ハイライトは抑えてトバないように。空の彩度は印象的に少し強調すると、なんとも簡単にHDRっぽい絵ができた。

シャドウなどは明るく、ハイライトは飛ばないよう調整。

この方法をもっと早く知っていれば、と強く思う。使えるうちにガシガシ使っておきたい。

一連の検証で気づいたのは、捨てるに捨てられなかった13年前のカメラでこんな絵が簡単に作れるのなら、今持ち出して何の問題もないぞ、ってことだった。軽くブログをやるにしても、ちょっといい絵でプロ気分。いや、プロだけどさ。

しかもこのカメラはサブカメラのさらにサブ。だったら、気軽に持ち歩いてちょっと何かあっても……いや、何もないほうがいい。サービスセンターには「この機種は古いために修理対象から外れていて、できることはCCD清掃ぐらいです」って言われているくらいなのだ。しかも念押しされるくらい。大切だから2度言いました、ぐらいの念押し。

はい、そっち方面は諦めました。大切にガシガシ使いますとも。

だからとにかく出かける時には持ち出して、いちいちカバンに仕舞い込まず、手で持ってウロウロしながら気になったものに向けてレリーズを切ることにした。

その時間は、ずっと忘れていた表現欲を刺激してくれた。カメラにハマりはじめた頃の気持ちが思い出されたような感じでうれしい。

最終的にはグッとシャドウを締めてみた。これくらいが重くていい感じ。

本当なら毎日でも持ち歩いて……というところなのだけれど、あいにく平日はそういうわけにいかないので、休日のウォーキングにぎゅっと凝縮して撮影する。次の日曜もよろしくS3。

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